2022

髙山瑞 個展「やまびこ」|2022.4.17-4.30|galerieH

photo | 桜井ただひさ   

今回の個展「やまびこ」では、

余白に書かれる文字と図像の関係性に焦点を当てています。
柔らかくうねり、時には鋭く引かれた線たちは、それぞれ意味を持つことがあります。
それはひらがなであったり、絵と呼ばれるものであったりします。
字を学び始めた幼い頃、教科書や黒板に書かれる文字をみて、
「絵といっしょだー」と思いながら夢中でノートをとった記憶があります。
教科書の頁には文字が書いてあり、その横に意味を示す絵がありました。
往来してみることで両者を結びつけ、そこに音も加わって、私たちは文字を学んでいきます。
互いに同じ意味を示すのに、かたちは全然違います。
なのにたった数文字をみてそれがなにを示しているのか、どうして想像ができるのでしょう。
あらゆる類するものたちを区別する線引きは、きっとその人がこれまでどんなものをみて、
どんなことを学んできたかによって判断されるのだと思います。
世界にはいつもわたしと何かがあり、わたしと誰かがいます。
わたしは名前をつけて呼んで(読んで)みることでその対象を理解しようと試みます。
教科書にあるような、文字と図像を結びつけるための往来。
それは文字と図像の、どちらにもない本来の意味を求めての行為です。
しかしどちらも空っぽな音の反響であり、やまびこでしかないのかもしれません。
意味の所在を探す音がただ、こだましているのです。